【動画で製品解説】EDB Postgres AI for CloudNativePG™ Cluster(旧EDB Postgres for Kubernetes)1.26.1

音声ガイド

1. EDB Postgres AI for CloudNativePG Clusterとは?
EDB Postgres® AI for CloudNativePG™ Clusterは、EnterpriseDB (EDB) によって設計、開発、および商用サポートが提供されるKubernetesオペレーターです。その主な目的は、Kubernetes環境内で高可用性を持つPostgreSQLデータベースクラスターのライフサイクル全体を管理することです。

これは、オープンソースのCloudNativePG (CNPG) オペレーターのフォーク(派生版)として構築されたエンタープライズグレードの製品です。CNPGの機能を拡張し、特にエンタープライズ環境向けの機能を追加しています。EDB独自のデータベースサーバー(EDB Postgres Advanced Serverなど)との互換性を提供し、Red Hat OpenShiftやIBM Powerといった追加プラットフォームのサポートも行っています。

本質的に、これはPostgreSQLクラスターのデプロイ、スケーリング、高可用性、そして日々の管理を自動化し、それらをKubernetesネイティブの宣言的なリソースとして扱うためのツールです。

2. 仕組み
このオペレーターは、外部ツールに頼るのではなく、Kubernetes APIと深く統合された、洗練されたクラウドネイティブなアーキテクチャを採用しています。

  • カスタムPodコントローラー: KubernetesのStatefulSetを使用する他の多くのデータベースオペレーターとは異なり、EDBのオペレーターは独自のカスタムコントローラーを使用してPodと永続ボリューム要求(PVC)を直接管理します。これにより、クラスターのライフサイクルをよりきめ細かく制御でき、シームレスなPVCリサイズ、ロールを意識したローリングアップデート(プライマリとレプリカを区別して扱う)、複数ボリューム間(データ用とWAL用など)でのデータ一貫性の確保といった高度な操作が可能になります。
  • アプリケーションレベルのレプリケーション: 実績のあるPostgreSQLネイティブのストリーミングレプリケーション(WALシッピングに基づく)を活用して高可用性を維持します。ストレージレベルのレプリケーションは使用せず、PostgreSQLのベストプラクティスに沿った、より制御性の高い方法を採用しています。
  • インスタンスマネージャー: オペレーターは「インスタンスマネージャー」と呼ばれる軽量プロセスを各PostgreSQL Podに注入します。このマネージャーはコンテナのエントリーポイント(PID 1)として機能し、PostgreSQLサーバープロセスを直接制御します。起動、liveness/readinessプローブの処理、フェイルオーバー/スイッチオーバーアクションの調整、そしてインスタンスの状態をオペレーターに報告する責務を担います。
  • 宣言的な設定: ユーザーは、PostgreSQLクラスターの望ましい状態(インスタンス数、ストレージサイズ、PostgreSQLの設定など)をYAMLマニフェスト(Clusterカスタムリソース)で定義します。オペレーターは、クラスターの実際の状態とこの望ましい状態が一致するように継続的に調整(リコンサイル)し、レプリカの作成、障害時の新しいプライマリへの昇格、設定変更の適用といったタスクを自動化します。
  • 自動的なサービス管理: オペレーターは、適切なPodを指すKubernetesサービス(読み書き用の-rw、読み取り専用レプリカ用の-ro、任意のインスタンス用の-r)を自動的に作成・管理します。フェイルオーバー時には、読み書き用サービスが即座に新しく昇格したプライマリを指すように更新され、アプリケーションのシームレスな接続性を保証します。

3. EDB CloudNativePG Clusterの利点とCNPGとの比較
主な利点は、エンタープライズグレードのPostgreSQLを堅牢かつ自動化されたKubernetesネイティブな方法で実行できることです。これにより、ステートフルなデータベースクラスターの運用オーバーヘッドが大幅に削減されます。

オープンソースのCloudNativePG (CNPG) と比較して、EDB版はエンタープライズ向けに特化したいくつかの重要な利点を提供します。

  • 商用サポートと長期サポート(LTS): EDBはプロフェッショナルなエンタープライズグレードのサポートを提供します。また、指定されたLTSリリースを提供し、顧客はセキュリティパッチやメンテナンスパッチを受け取りながら、安定したバージョンを長期間(12~18ヶ月)利用し続けることができます。これは本番環境の安定性にとって極めて重要です。
  • EDB Postgres Advanced Server (EPAS) との互換性: これが大きな差別化要因です。ユーザーはEPASの機能、特にOracle互換性を活用でき、OracleワークロードをKubernetes上のPostgreSQLへ容易に移行できます。
  • 透過的データ暗号化(TDE): EPASを通じて、オペレーターはTDEをサポートします。これにより、保存データ(データファイルとWALファイル)の暗号化が可能となり、多くの組織にとって重要なセキュリティ要件を満たします。
  • 拡張されたプラットフォームサポート: EDBは、大企業で一般的に使用されるRed Hat OpenShiftやIBM Power、z/Linuxといったプラットフォームに対する公式サポートと認定を提供します。
  • 強化されたバックアップツール連携: EDB版は、KastenやVelero/OADPといったエンタープライズ向けバックアップソリューションとの明確なサポートとアダプターを提供します。
  • 統一されたエコシステム: 既にEDB製品を使用している顧客にとって、このオペレーターは一貫した体験と、PostgreSQLスタック全体にわたる単一のサポート窓口を提供します。

4. バージョン1.26.1の新機能
提供されたリリースノート(23ページ)によると、バージョン1.26.1は主にメンテナンスと同期を目的としたリリースです。

主要な更新内容はアップストリームのマージです。このリリースは「コミュニティのCloudNativePG 1.26.1アップストリームリリースとマージ」されました。これは、EDB Postgres AI for CloudNativePG Cluster 1.26.1が、オープンソースのCloudNativePGバージョン1.26.1で利用可能なすべての機能、バグ修正、セキュリティパッチを取り込んでいることを意味します。

この特定のパッチリリースでEDB版独自の新しい機能はリストされていません。主な目的は、フォーク元であるアップストリームのコミュニティプロジェクトの最新動向と歩調を合わせ、エンタープライズ製品を最新の状態に保つことです

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