【製品情報】AI Factory 1.3

音声ガイド

概要

1. AI Factoryとは何か?
AI Factoryは、EDBが提供するスケーラブルでモジュール式のプラットフォームであり、AIを活用したアプリケーションやデータ製品の構築、運用、統制(ガバナンス)を目的としています。Postgresを基盤としており、自社のデータセンターやクラウド環境内で実行されるように設計されており、主権AI(Sovereign AI)の実現を中核的なコンセプトとしています。

これは、データ、モデル、AIパイプラインを完全に自社で管理できることを意味します。主な構成要素は以下の通りです。

  • GenAI Builder: 会話型エージェント、アシスタント、複雑なAIワークフローを構築するためのローコード環境。
    モデルサービング: GPUアクセラレーションを備え、AIモデル(LLMや埋め込みモデルなど)をスケーラブルでセキュアな推論APIとして展開・管理するシ
    ステム。
  • Vector Engine (PGvector): 高度なベクトル検索とセマンティック検索機能をPostgresデータベースに直接統合。
  • AI Factory Pipelines: AI用のデータライフサイクルを自動化し、データ取り込み、前処理(チャンキング、パース)、埋め込み生成を処理し、ナレッジベースを最新の状態に保ちます。

本質的に、これは外部のAIサービスにデータを送るのではなく、AIワークロードを自社のPostgresデータに直接持ち込むためのエンドツーエンドのスタックです。

2. AI Factoryの利点は何か?
AI Factoryの主な利点は主権AI(Sovereign AI)の実現であり、以下のメリットを提供します。

  • データガバナンスとセキュリティ: データ、モデル、ベクトル埋め込み、パイプラインがすべて自社のインフラ内に留まります。これにより、サードパーティ製の「ブラックボックス」APIに機密データを送信するリスクを排除し、コンプライアンスとデータプライバシーを確保します。
  • 完全な制御と監査可能性: データ取り込みからモデルの推論まで、AIライフサイクル全体にわたって完全な可視性と制御を実現できます。すべてのステップが透明で監査可能であり、自社で統制できます。
  • 統合アーキテクチャ: AIワークロードと従来のデータワークロードを、Postgres中心の単一プラットフォームに統合します。これにより、複雑さが軽減され、運用が簡素化され、既存のデータ資産を最大限に活用できます。
  • ベンダーロックインの回避: 独自開発したオープンソースモデルやカスタムモデルを展開できるため、特定のベンダーが提供する不透明なAIサービスへの依存を避けることができます。
  • 信頼性の高い、根拠に基づいたAI: 自社で管理するナレッジベース上でRAG(Retrieval-Augmented Generation)を使用することで、AIの応答が信頼できる企業データに基づいたものとなり、「ハルシネーション(幻覚)」を減らし、精度を向上させます。

3. Hybrid Managerは上記の利点をどのように実現しているか?
Hybrid Managerは、AI Factoryの利点を実現するための統合管理プレーン(unified control plane)です。ガバナンス、運用、可観測性(オブザーバビリティ)のための中核的なアーキテクチャを提供します。その仕組みは以下の通りです。

  • オーケストレーションとデプロイメント: EDBに最適化されたKubernetesクラスタ上で、AI Factoryの全コンポーネント(Pipelines、モデルサービング、GenAIワークロード)を展開・管理します。
  • 統一されたガバナンス: モデルの展開管理、ナレッジベースの管理、リトリーバーの設定、APIアクセスの制御など、AI資産のライフサイクル全体を一元的に管理する機能を提供し、セキュリティとコンプライアンスを確保します。
  • 一元化された可観測性: データベース、パイプライン、アシスタントの各レベルで、すべてのAIアクティビティを単一のインターフェースから監視・追跡できます。これにより、エンタープライズシステムに求められる監査可能性と運用上の洞察を提供します。
  • リソース管理: AIモデル推論のためのGPUリソースのプロビジョニングや、効率的なリソース割り当てなど、基盤となるインフラを管理します。

要するに、Hybrid Managerは、環境内でAIスタック全体を安全に展開、管理、監視するためのツールを提供することで、主権AIの原則を実践する運用上のバックボーンです。

4. AI Factoryのユースケースは何か?
AI Factoryは、さまざまな業界における広範なエンタープライズユースケースに対応しています。一般的な応用例は以下の通りです。

  • エンタープライズナレッジアシスタント: 社内文書(人事規定、技術マニュアル、コンプライアンスガイドなど)に基づいて従業員の質問に回答する社内向けチャットボットや「Copilot」を構築。
  • カスタマーサポートの自動化: 製品ドキュメントやFAQから情報を取得し、顧客に正確で根拠のあるサポートを提供する会話型AIエージェントを作成。
  • セマンティック検索: 構造化データ(データベース)と非構造化データ(文書、PDF)の両方を含む、すべての企業コンテンツを対象とした自然言語検索を実現。
  • ドキュメントインテリジェンスパイプライン: 文書のOCR、パース、要約、分類を含むワークフローを自動化。
  • 各業界向けソリューション:

    • 金融サービス: 顧客サポートチャットボット、アドバイザー向けのセキュアな社内ナレッジ検索。
    • ヘルスケア: 医療文献検索、臨床文書の要約、患者サポートアシスタント。
    • 小売・Eコマース: セマンティック商品検索、パーソナライズされたレコメンデーション。

5. リリース1.3の新機能は何か?
リリース1.3は、AI FactoryをAIとアナリティクスの両方に対応する完全な統合プラットフォームへと進化させるメジャーアップデートです。主な新機能は以下の通りです。

  • Sovereign Data and AI Factory(ハードウェアアプライアンス): 最大限の制御と外部依存ゼロを求める組織向けに、完全に統合・事前組立済みのハードウェアおよびソフトウェアプラットフォーム(Supermicro社との提携)として提供される新しいデプロイオプション。
  • Postgresネイティブのレイクハウス: AI Factoryに分析スタックが組み込まれました。これによりレイクハウス・クラスタを展開し、オブジェクトストレージに保存されたApache Iceberg®やDelta Lakeのようなオープンデータフォーマットに対して、高速なベクトル化クエリを直接実行できます。
  • GenAIワークロードの拡張: ローコードのGenAI Builder、統合されたモデルサービング、データベース内セマンティック検索を含む、GenAI向けの包括的なスイート「AI Factory」を導入。
  • 統合管理とプロアクティブな診断: デザインが一新された監視インターフェース、新しいクラスタレベルのスコアカード、プロアクティブなクエリ推奨(インデックス提案など)、より詳細なクエリ遅延分析機能を搭載。
  • サステナビリティレポート(プレビュー版): 組織がデータインフラのエネルギー使用量と炭素排出量を追跡するのに役立つ、実験的なESGダッシュボードを導入。

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