米国無線キャリア、100テラバイトのOracleのデータベースを移行

無線キャリア

競争の重圧は、通信業界に大きな改革をもたらした。これまでの通話・通信機器が一般に普及し、価格も下がっている一方で、通信会社は次々に発売されるデジタル機器や、新たなサービスを提供するビジネスモデルの台頭を目の当たりにしてきた。結果として、通信会社はオープンソース技術の採用に積極的な姿勢を見せ始めているが、そこには企業運営を近代化し、効率性や柔軟性を向上し、ベンダーへの強い依存を減らして敏捷性を上げ、そしてコストダウンを図る狙いがある。

EnterpriseDB® (EDB™) は、AT&T、Bellカナダ、そして韓国のKTコーポレーションなど、世界中の主要な通信会社と協力関係を結んでいる。

EnterpriseDBは、EDB Postgres PlatformによってオープンソースのデータベースであるPostgreSQLの性能を向上させ、顧客に最高レベルのパフォーマンス、スケーラビリティ、管理性、セキュリティ、そして互換性を提供している。EDB Postgres Platformは、マルチモデルデータの管理や既存のシステムへの組み込み、そして複数の環境に渡る素早いデプロイメントのために企業が必要なすべての機能を持っているため、顧客は昨今のデジタルビジネスの要求を満たし、近代化を図ることができる。

100テラバイトのデータ移行先の候補

EDBの通信関連の顧客の中には、アメリカ国内最大級の無線キャリアが含まれている。このキャリアは、アメリカ全土に渡ってネットワークを提供し、そして顧客体験の向上に繋がる、業界の先駆けとなる革新をもたらしている。この企業は、都市や郊外のコミュニティで利用可能な高品質なネットーワークを基盤に、最先端のデバイスの強力なラインナップを持っている。そして現在、その顧客の99%が4G LTEの速度で通信を行うことができる。

この企業も、通信業界内の他の企業と同じ理由で、オープンソースのソフトウェア導入に向けた取り組みを始めている。その目的は、効率性や柔軟性をインフラのレベルから向上することにあった。また同時に、運用コストを削減しながら顧客体験を向上させるという狙いもある。

データセンターにオープンソースのソフトウェアソリューションを導入する候補としてこの会社が最初に選んだのは、それまで使っていたOracle® Exadataのシステム上の100テラバイトのデータをEDB Postgres PlatformとCloudera (Hadoop) に移行させるという、ミッションクリティカルなアプリケーションだった。このアプリケーションは、無線機器向けの地理情報や、その他の地理的な行動パターンやデータの利用、音声録音(ボイスメールやコールセンターとのやりとりなど)といった、さまざまな種類のデバイスおよびユーザーの情報を保持するものだ。

4つの「成功の柱」

OracleからEDB Postgresへの移行によって、アプリケーションの運用コストを数百万ドル削減できることになるが、その理由は、それまで使用していたコストのかかるシステムを、低コストなオープンソースのデータ管理ソリューションであるEDB PostgresとClouderaと入れ替えたためだ。この計画を素早く成功させることを約束したEnterpriseDBの管理のもと、データ移行は2週間で完了した。

EDBは、この企業が下記4つの目的を果たすための協力を行なった。

1) マイグレーション

この企業は、OracleからEDB Postgresへのデータ移行を実現しパフォーマンスの向上を約束する、EDBがPostgres向けに開発した主要な機能(パーティショニングや異なる種類のデータベースリンクなど)を有効活用した。

2) 新しいアプリケーションの開発

このアプリケーションは、もともとOracle Exadata上で完璧に動作していた。そして、それはEDB PostgresがDBOR (Database Of Record) となるだけでなく、データ解析ができるように、情報は莫大な量のアーカイブデータとともに定期的にClouderaに集められる。EDB Postgresは、データがあたかも単一データベースの一部であるかのようにスムーズに行き来できるように、EDB Data Adaptorを用いてClouderaのようなNoSQLのソリューションにデータを統合する。

さらにデータベースの管理者は、EDB Postgres Data Adaptorsを用いることで、Cloudera上のデータがPostgresのテーブルに存在するかのように処理することができる。

このことにより、Postgres DBAが構造化および非構造化データを扱う上で強力な制御が可能となり、新しいアプリケーションの開発の際に高い柔軟性を得ることができる。ボイスコールのトラフィックや録音もCloudera上に保存されるが、これは、コンテンツが生成する莫大な量のデータの管理においてもこのソリューションが優れているためだ。

3) インテグレーション

この新たなシステムは、Hewlett Packard Enterprise (HPE)の既存のストレージアレイのインフラに統合される。このHPEのソリューションは、容易にEDB Postgresのバックアップソリューションに統合することが可能な、柔軟性の高いバックアップ機能を持っており、タイムリーかつ信頼性の高いバックアップとリカバリーが可能だ。

EDB Postgresは、標準ベースのソリューションとして、データセンター内の複数のプラットフォームに渡って統合することができる。

4) モダナイゼーション

Clouderaを追加することで、これまでのソリューションではコストがかかるリファクタリングを行うことなく、より高度なデータ解析が可能となる。また、そのコストを削減できることで、顧客が旧型の携帯電話からスマートフォンに移行する手助けとなり顧客体験を向上できる、ユーザーデータに基づいた予測環境の構築など、新たにデータ・ドリブンな企業戦略への投資が可能となる。

無線キャリア_図1

結論

無線キャリアは、将来のアプリケーション環境の開発段階に向けて、さらなるデータ・ドリブンな戦略を計画している。そのためには、インフラを超えたデータソースの統合や、Postgresが持つ強力なオープンソースの拡張機能「PostGIS」を基盤とした、地理情報の有効活用が必要となる。

[出典:米国EDB公式ホームページ]



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